「断ち切れない想い」。

抱いていい想いと。

抱いてはいけない想いと。

傍から見て……

少なくともセレスさんの眼には……そう、見えるんだね。

正直に言えば、

「やっぱり」

……って感じ。

自覚は、してた。

実際にそうだとは私は断言はしないけれど、

そう見えても、不思議ではないとは思う。

……。

私は、有名人に恋をするっていうのはいけない事だと思うんだ。

叶わない恋心を抱く事は、

相手に迷惑をかけてしまう事だから。

本当にその人の事を想うなら、きっぱりと諦めて……

それで、その人の事を応援する。その人の幸せを願う。

そういう「純粋なファン」になる事が、一番その人にとって喜ばれる事だと思うんだ。

叶わない恋心は、どんなに強く抱いたところでその人を幸せにできないから。

だって、叶わないんだもの。

……。

私が最初、茅原さんを見る眼は今のようなものではなかったはず。

純粋に好きな声優の中の一人に過ぎなかったはず。

だけど、私の中の茅原さんへの想いは加速していった。

自分を見てもらいたくなっていった。

「他のファンの人に埋もれたくない」って思うように、なっていった。

その反面で、怖かった。

心のどこかで、

「深入りしないようにしないといけない」

「好きになったら取り返しがつかなくなる」

……そんな思いを抱いていた。

いけないと分かっているのに、好きになる事が怖かった。

茅原さんを今以上に好きになったら、きっといつか叶わぬ想いを抱いてしまう。

……そんな風に感じていた。

好きになっちゃいけない。

……そう思っていた、はずなのに。

今は、もう……そうなってしまっているんだろうか。

取り返しのつかないところまで来てしまっているんだろうか。

……「歪んだ憧れ」を抱く自分。

嫉妬も、独占欲も、すべては「憧れ」からくるもの。

そう言い聞かせてきたけれど。

……。

私って、バカだよね。

迷惑をかけるのが分かり切ってるのに……

どうして、自分の想いを断ち切れないんだろう。

こんな自分勝手な感情、断ち切ってしまえれば。

純粋に、応援する気持ちだけ持てれば。

そうすれば、茅原さんに迷惑をかける事も無い。

なのに、そうできない自分がいる。

本当に、バカだ。

……自分を冷たく笑う、自分がいる。